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— 日本において、新型コロナウィルスのパンデミックを竹川さん自身はどのように受け止めていらっしゃいますか。自粛生活により、作家としての日常にどのような変化がありましたか。
コロナ禍以前の2年間は頻繁に中国に赴き、アーティスト達と交流していましたが、それが断ち切られてしまいました。今では家、スタジオ、庭、自分の身体など長く放置してきたことをメンテナンスしたり、家族の時間を大事にしながら作品制作をしています。
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— オオタファインアーツ上海での展示では、自然や動物のモチーフが数多く登場します。このようなモチーフを作品の中心に置く理由は何でしょうか。
社会問題を作品のテーマにする場合や政治体制の異なる地域で発表する場合に、擬人化表現はとても役立ちます。批評的な内容を娯楽として受け渡すことが出来るからです。近現代美術が移入された国際地域において寓話表現の普遍性を取り込み、文脈を補強する意味もあります。
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— 2017年に制作した猫オリンピックのインスタレーションシリーズは、東京オリンピックを踏まえたものでしたが、いよいよこの7月に開催されます。それを踏まえての今のお気持ちはいかがでしょうか。
コロナ以前の問題として、国力が衰えつつある日本ではオリンピックの準備は低迷していたと思います。政治腐敗による中抜きが横行し予算が大幅に膨らみましたが、中身はパッとしません。また他の問題も次々に露呈してきました。日本はオリンピックを中止するのが賢明だと思います。どちらにせよ今回の「人間オリンピック」は失敗と言えるのではないでしょうか。
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作家略歴
竹川宣彰:1977年東京都生まれ。2002年、東京藝術大学油絵科卒業。近年参加した展覧会に、「ヨコハマトリエンナーレ2020 AFTERGLOW−光の破片をつかまえる」横浜(2020)、「Relay to Tokyo-継承と集積」 国立ビザンチン・クリスチャン美術館、アテネ(2019)、「六本木クロッシング2019展:つないでみる」森美術館、東京(2019)、「Our Collections!―鳥取県のアート・コレクションの、これまでとこれから―」 鳥取県立博物館、鳥取(2019)、「理由なき反抗」 ワタリウム美術館、東京(2018)、「第9回ウラジオストク・ビエンナーレ」沿海州美術館、ウラジオストク(2017)など。2018年、南京四方当代美術館でのレジデンス・プログラム「Huge Huge」(2018)に参加する。竹川の作品は、フォード財団(アメリカ)、国立国際美術館(大阪)、Collection Lambert(フランス)など、世界的に有名な美術館や基金に収蔵されている。
作家の詳しい情報は、こちらより弊廊のホームページ をご覧ください。
インタビュー:竹川宣彰
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